2026.06.08

業務改善

業務可視化のやり方|業務一覧・フロー図の作り方3ステップ【テンプレ付】

※本記事は2026年6月時点の情報と、当社の実支援にもとづく内容です。

「業務改善をしたいが、まず何から手を付ければいいか分からない」——その答えは、ほぼ例外なく業務の可視化です。誰が・どの業務を・どれくらいの工数で・どのツールでやっているかが見えなければ、ムダも属人化も特定できません。

ただし、可視化は「やり方」を間違えると、現場が身構えて本音の情報が出てこなかったり、図の粒度がバラバラで使えない資料になったりします。この記事では、業務可視化のやり方を、①業務の棚卸し(業務一覧表)→②業務フロー図→③課題のマッピングという3ステップで、実務でつまずかない形に整理して解説します。すぐ使える「業務棚卸しテンプレート」も無料配布しています。

この記事の監修:大槻 伸夫(キュリオシティ株式会社 代表取締役CEO)。”現場主義 × AI”で業務改善(BPR)・PMIを伴走支援。


結論:業務可視化は「業務一覧」と「業務フロー」の2点セット

先に結論です。業務可視化の成果物は、大きく2つです。

  • 業務一覧表:どんな業務が・誰の担当で・どれくらいの頻度と工数で存在するかを漏れなくリスト化したもの(業務の「目録」)
  • 業務フロー図:その業務が・どんな順序で・誰から誰へ受け渡されるかを図で表したもの(業務の「地図」)

まず一覧で全体を網羅し、重要な業務はフロー図で流れを描く——この順番が王道です。そして可視化のゴールは「きれいな資料を作ること」ではなく、課題を見つけて改善につなげること。最後にそこまで触れます。


なぜ業務可視化が必要なのか

業務可視化とは、業務プロセスや各工程のつながりを明らかにし、図や表でわかりやすく表すことで、誰がどの業務をどのくらいの工数で行っているかを把握することです(参考:パーソル)。可視化すると、次のことが見えてきます。

  • 属人化:特定の人しか分からない業務(その人が休むと止まる)
  • 非効率:二重入力・手戻り・確認待ちなど、ムダな工程
  • 工数の偏り:時間がかかっているわりに価値の低い業務

これらは、頭の中だけでは絶対に特定できません。可視化は業務改善の「地図」であり、出発点です。

その効果は具体的です。たとえばLayerXのある事例では、1.5時間のワークショップ形式で業務を棚卸しし、月82時間分の工数を捻出できたと報告されています(参考:note・Akira Uehori氏(LayerX))。可視化は「やって損のない作業」ではなく、短時間でも大きな成果を生む投資です。


業務可視化のやり方【3ステップ】

図:業務可視化の3ステップ(棚卸し→フロー図→課題マッピング)
図:業務可視化の3ステップ(棚卸し→フロー図→課題マッピング)

期間と体制の目安:1部門規模なら、棚卸し〜フロー図〜課題マッピングでおおむね3〜6週間。体制は、現場の実情を出す現場リーダーと、取りまとめる事務局を最低限置きます。LayerXの事例のように、現場メンバーを集めた1〜2時間のワークショップ形式で一気に棚卸しするやり方も有効です。

ステップ1:業務の棚卸し(業務一覧表をつくる)

最初に、対象部門・チームの業務をすべて書き出します。ここで作るのが業務一覧表です。業務一覧表とは、組織内の業務を上位概念から下位概念へと体系的に整理し、網羅したリストのことです(参考:業務可視化ノート)。

書き出す項目の目安:

項目
業務(大分類) 月次決算
業務名(中分類) 経費精算チェック
具体的な作業 申請と領収書の突合・差戻し
担当(役割) 経理担当
頻度 週次
1回の所要時間 90分
使用ツール Excel・メール
成果物 承認済み経費データ

粒度のコツ:1作業=15分〜数時間で完結する単位に揃えると、後の課題抽出がしやすくなります。細かすぎると終わらず、粗すぎると課題が見えません。

💡 この棚卸しは、記事末で配布している 業務棚卸しテンプレート を使えば、項目に沿って埋めるだけで完成します。

ステップ2:業務フロー図をつくる

一覧で洗い出した業務のうち、重要なもの・複雑なもの・属人化しているものを、フロー図にして流れを可視化します。業務フロー図は、最低でも3種類の記号があれば書けます(参考:業務可視化ノート)。

  • 端子(開始・終了):楕円。フローの始まりと終わり
  • 処理:四角。作業・処理の内容
  • 判断:ひし形。条件分岐(YES/NO)

書くときに押さえる4要素:「誰が」「いつ・何をきっかけに」「どんな作業を」「どういう場合に」(参考:業務フロー図の書き方)。

粒度を統一するのが最大のコツです。1枚の図の中で、ある作業は細かく、別の作業は大雑把、という状態だと使えません。目的と範囲を先に決めると、粒度が自然と揃います。

なお、難しい記法(BPMNなど)は最初は不要です。端子・処理・判断の3記号があれば現場で読める図は描けます。凝った記法より「現場が理解できること」を優先しましょう。作成ツールの選び方は、次の章で解説します。

ステップ3:課題をマッピングする

可視化はここからが本番です。一覧とフロー図を見ながら、「時間がかかっている」「属人化している」「二重入力」「手戻り」「確認待ち」の業務に印を付けていきます。この「課題のマッピング」が、次の業務改善(課題の構造化→施策立案)への橋渡しになります。

可視化したあと、課題をどう束ねて改善するかは、業務改善の進め方5ステップ|現場が動く改善の型で詳しく解説しています。可視化から施策・定着まで一気通貫の支援が必要なら、業務改善コンサルティング(BPR)もご覧ください。なお、洗い出した改善案を社内で通すには通る業務改善提案の書き方が役立ちます。


業務可視化に使うツールは?Excel・PowerPoint・作図ツールの選び方

業務可視化のツールは、目的に応じて選びます。高機能なツールが正解とは限りません。

ツール 向いている場面
Excel 業務一覧表とセットで管理したい。表計算で工数の集計も同時にできる
PowerPoint 報告・共有用にきれいに見せたい。図形が扱いやすい
Cacoo・Miro等の作図ツール 複数人で同時編集したい・大きなフローを扱う

迷ったら、まずは手元のExcel/PowerPointで十分です。ツール選びに時間をかけるより、早く描いて現場と直すほうが価値があります。当社の支援でも、1部門あたりおおむね50〜150業務を棚卸しし、そのうち2〜3割に属人化・二重入力・手戻りなどの課題が見つかるのが通例ですが、この洗い出しはExcelベースの棚卸し表で十分に回せます。

現場でつまずくポイントと回避策(実支援の所感)

業務可視化は手順自体はシンプルですが、現場では必ず人の問題でつまずきます。当社の支援現場で見てきた典型と回避策です。

つまずき①:現場が本音の情報を出してくれない

可視化と聞くと、現場は「自分の仕事のムダを指摘される」と身構えます。改善=評価・査定の道具と捉えられると、本当の情報は出てきません。

ここで効くのが「一緒に作る」という姿勢です。DX支援に携わる実務家も、「DX支援で一番効果あるのは便利なシステムを使うとかじゃなく『業務フロー図を一緒につくってあげます』なんじゃないか」と指摘しています。可視化は現場への”指導”ではなく、現場との”共同作業”です。

当社の所感として、可視化で一番大事なのは「これは犯人探しではなく、業務の地図を一緒に作る作業です」と最初に握ること。地図づくりだと伝わると、現場のほうから「実はこの作業、二重入力になっていて……」と本音が出てきます。実演ベースで学ぶなら、棚卸しから図解への落とし込みを解説した動画(YouTube:業務棚卸 大きな業務は図にしよう)も参考になります。

つまずき②:粒度がバラバラで使えない資料になる

「目的(何のために可視化するか)」を決めずに始めると、粒度が揃わず、ただの分厚い資料が出来上がります。「改善対象を見つけるための可視化」と目的を定め、その目的に必要な粒度で揃えましょう。

特に、その業務に詳しい人ほど細かい作業を一気に書き出してしまい、中間レベルの業務がごっそり抜けるという落とし穴があります(参考:業務可視化ノート)。「大分類→中分類→具体作業」の順に上から埋めると抜け漏れを防げます。なお、棚卸しが甘いままフロー図に進むと、フロー作成で何度も手戻りします。フロー図で苦戦するときは、たいてい根本原因は棚卸し不足です。

つまずき③:可視化して満足してしまう

きれいな業務一覧・フロー図ができると、それで達成感を覚えてしまいがちです。しかし可視化はゴールではなく出発点。必ずステップ3の「課題マッピング」まで進め、改善につなげることが肝心です。実際、当社のある支援先では、部門の全業務を一覧化した結果、属人化・二重入力・確認待ちなどに分類される33件の課題が構造化され、それをインパクト×実行容易性で6つの改善施策に束ねて優先順位を付けたことで、初めて現場が動き出しました(数値は守秘のため概算)。可視化を「課題マッピング→施策」まで通すことが、成果への分かれ道です。


まとめ|可視化は「地図づくり」、ゴールは改善

業務可視化のやり方を3ステップで解説しました。

  • 成果物は 業務一覧表(目録)業務フロー図(地図) の2点セット
  • 手順は ①棚卸し → ②フロー図 → ③課題マッピング
  • フロー図は記号3種・4要素・粒度の統一がコツ
  • 現場には 「犯人探しでなく地図づくり」 と最初に握る
  • 可視化は出発点。課題マッピングまで進めて改善につなげる

まずは「業務の棚卸し」から始めましょう。明日からそのまま使えるテンプレートを用意しました。テンプレートには、業務(大分類)/業務名(中分類)/具体的な作業/担当/頻度/所要時間/月間工数(自動計算)/使用ツール/成果物/課題区分/改善の方向性(ECRS)/優先度スコア(自動計算)の列を用意。埋めるだけで棚卸し〜優先順位付けまで進められます。

📥 無料ダウンロード:業務棚卸しテンプレート
担当・頻度・所要時間・使用ツール・課題区分まで、抜け漏れなく洗い出せるExcelテンプレートです。ステップ1の棚卸しをこのテンプレートから始められます。
📥 業務棚卸しテンプレートを無料ダウンロード(フォーム入力後にダウンロードURLをご案内します)

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「自社のどの業務から可視化すべきか」「可視化した課題をどう改善につなげるか」——状況に応じた進め方をご提案します。BPR・業務改善の伴走支援について、お気軽にご相談ください。
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監修者

大槻 伸夫|キュリオシティ株式会社 代表取締役CEO
“現場主義 × AI” で大手企業の業務改善(BPR)・PMI(買収後統合)を伴走支援。業務の可視化から課題構造化・施策・定着までを手がける。自社で進捗管理プロダクト「PMI Manager」を開発。



監修者

大槻 伸夫/ 代表取締役 CEO

キュリオシティ株式会社 代表取締役CEO。「現場主義×AI」を掲げ、業務改善(BPR)・PMI・経営支援・AIプロダクト開発を一気通貫で支援。クライアント現場での実行支援を重視する。

業務改善・PMIのご相談はキュリオシティへ

記事で紹介したテンプレートの配布や、貴社課題に合わせた無料相談を行っています。

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