DXコンサルの費用は、月額型で月10万〜数百万円、プロジェクト型で数百万〜数千万円が目安です。
ただ、この幅をそのまま予算にすることはできません。同じ「DX支援」でも、助言だけなのか、要件定義まで一緒にやるのか、作るところまで請け負うのかで、金額は桁が変わるからです。
当社は2026年7月までに、ある不動産賃貸管理の会社へ性格の違う見積を3本出しました。月額の伴走支援、新しい仕組みを段階で作る開発、既存システムへの追加開発の3本です。並べて分解すると、総額では見えない差が3つ出てきました。本記事では公開されている相場を整理したうえで、この分解から作った「DX費用の3つの財布」と「見積を読む3つの割り戻し」を紹介します。
※事例は社名・システム名・担当者名を伏せ、金額は幅と割合で示します。
DXコンサルの費用相場はいくら?
相場は契約の形で決まります。公開情報を並べると、月額型は月10万〜数百万円、プロジェクト型は数百万〜数千万円、時間契約は1時間数千円〜数万円台が中心です。
料金を公開している会社や解説記事の数字を、契約の形ごとに並べました。
| 契約の形 | パソナ ProShare(2026年10月) | ripla(中小企業向け) | Uravation(2026年10月更新) |
|---|---|---|---|
| 顧問・月額型 | 月10万〜300万円程度 | 月30万〜200万円 | 小規模で月40万〜80万円 |
| プロジェクト型 | 数百万〜数千万円(人月100万〜300万円) | 現状診断50万〜200万円、戦略策定200万〜500万円 | 小規模で月40万〜150万円 |
| 時間契約(スポット) | 1時間数千円〜数十万円 | 1時間1.5万〜3万円 | — |
| 成果報酬型 | 一律の相場なし | — | — |
3つの資料で下限がそろわないのは、誰が・どこまで関わるかの前提と、会社の規模が違うためです。助言だけの顧問なら月10万円台から始まり、担当者が手を動かす関わり方になると月100万円を超えます。Uravationの整理では、顧問型でも小規模企業は月40万〜80万円、中堅は月50万〜150万円、大企業は月150万〜500万円と、規模で桁が変わります。人月単価が100万〜300万円という目安は、どの資料もおおむね一致しています。
相場の表は「どの形の契約なら、どの桁か」をつかむために使い、自社の予算は次の支援範囲から組み立てます。
支援範囲によって費用はどう変わる?
費用は「考える」「作る」「回す」の3つの財布に分けると読みやすくなります。DXコンサルの見積は、このうちどの財布をどこまで頼むかで総額が決まります。
当社では見積を、性格の違う3つの財布に分けて考えています。これが「DX費用の3つの財布」です。
| 財布 | 中身 | 支払い方の多い形 | 公開相場の目安 |
|---|---|---|---|
| 考える | 現状診断、業務の見える化、DX戦略・ロードマップ、要件定義 | プロジェクト型 | 現状診断50万〜200万円、戦略策定200万〜500万円(ripla) |
| 作る | システム導入・開発、データ移行、テスト | プロジェクト型・段階契約 | 実行支援300万〜1,000万円以上(ripla) |
| 回す | 伴走支援、定着、運用相談、研修 | 月額型・時間契約 | 定着支援 月30万〜100万円(ripla)、研修1回20万〜80万円(Uravation) |
「DXコンサル」と一口に言っても、戦略系のファームは「考える」が中心で、IT系の会社は「作る」が中心です。業務改善型の会社は「考える」と「回す」を小さく組み合わせることが多くなります。比べる相手が違う財布の見積を出していないか、まずそこをそろえます。
DX全体の進め方は中小企業のDXの進め方で、「作る」の中でも生成AIに絞った費用の内訳は生成AI導入の費用相場で詳しく紹介しています。
当社の見積を分解すると、何が費用を動かしていた?
3本の見積を分解すると、①月額は値引きではなく枠の予約、②考える費用の比率は案件の性格で約3倍違う、③費用を押し上げるのは機能より例外、の3点が見えました。
同じ会社に出した見積なので、会社の規模や業界の差はありません。違うのは頼まれた中身だけです。

| 見積 | 中身 | 金額の幅 | 分解して分かったこと |
|---|---|---|---|
| A 月額伴走 | 運用担当者への週2時間の相談・操作支援 | 月20万円前後(月8時間) | 時間あたりに割り戻すと、超過分の1時間単価と同じ |
| B 段階型の新規開発 | 業務ルールを決め直し、2段階で先行して作る | 1段階300万〜500万円、2段階で約2.5〜3.5か月 | 要件定義が約35%(第1段階37%、第2段階32%)。第3段階は金額を出さず「要件定義後に別途見積」 |
| C 既存への追加開発 | 動いている仕組みに支払い方法を1つ足す | 基本構成200万円前後 | 要件定義・設計が約13%、テスト約15%、反映・レビュー・予備が約9%。例外処理のオプションが基本の約28% |
① 月額は「値引き」ではなく「枠の予約」
見積Aの月額を時間で割ると、超過したときの1時間単価とまったく同じでした。月額で払っているのは安さではなく、毎週決まった時間に相談できる枠が押さえられていることです。相談が月に数時間しか出ないなら、スポットで十分な場合もあります。
② 考える費用の比率は、案件の性格で約3倍違う
ルールそのものを決め直す見積Bでは、要件定義が全体の約35%を占めました。すでに動いている仕組みに機能を1つ足す見積Cでは約13%です(Bは「要件定義」の列、Cは「要件定義・設計」の行で数えています)。見積Bで要件定義が重くなったのは、番号の振り方という業務ルールそのものを決め直し、その結果を設計書にまとめる作業が入っていたためです。
ルールを新しく決める案件なのに要件定義の行が1割台の見積が来たら、「ルールを決める打ち合わせは何回あり、決めた内容は何という文書で残りますか」と聞いてみてください。答えが曖昧なら、その見積は決める作業を数えていません。
③ 費用を押し上げるのは、機能の数より例外の数
見積Cで基本の約28%を上乗せしたのは、保証会社経由の口座振替という別の支払い経路への対応と、複雑な割引の按分の2つでした。どちらも「普通の流れから外れるケース」です。DXの見積が膨らむときは、例外処理が何件あるかを先に数えると原因が見えます。
月額伴走とスポット・段階契約はどう使い分ける?
月額伴走は「相談が毎週出る時期」、スポットは「論点が1つに絞れている時」、段階契約は「作る範囲がまだ動く時」に向いています。
当社が契約の形を提案するときの考え方をまとめます。
| 状況 | 向いている形 | 理由 |
|---|---|---|
| 社内の担当者が手を動かしていて、毎週つまずく | 月額伴走 | 枠が押さえられているので、つまずきをその週のうちに解消できる |
| 聞きたいことが1つに絞れている(ツール選定の壁打ち等) | スポット・時間契約 | 枠を買い続ける必要がない |
| 作るものは決まったが、後半の範囲がまだ動く | 段階契約 | 前半だけ確定させ、後半は要件定義の結果で見積を出し直せる |
| 何から始めるかが決まっていない | 考える財布だけを小さく | 見える化と打ち手の洗い出しまでで一度止める |
段階契約では、最後の段階に無理に金額を付けないことが大切です。見積Bで第3段階を「要件定義後に別途見積」としたのは、前半の結果で後半の中身が変わることが見えていたためです。全段階に金額が付いた見積は安心に見えますが、後半の金額は多くの場合、予備を厚く積んだ数字になります。
月額伴走を選ぶ場合も、次の取り決めは契約前に確認します。見積Aでも、ここは見積とは別に取り決める項目として書きました。
- 使わなかった時間を翌月に繰り越せるか
- 調査や検証(仕様の確認、不具合の切り分け)が枠に含まれるか、別料金か
- 超過したときの1時間単価と、事前に相談が要るか
手元の見積が妥当か、どの数字で確かめる?
総額ではなく「時間」「段階」「例外」の3つに割り戻し、当社の見積で出た値と並べます。これが当社の「見積を読む3つの割り戻し」です。
| 割り戻し | 計算のしかた | 当社の見積での値 | 目安の使い方 |
|---|---|---|---|
| 時間 | 月額÷月の稼働時間 | 1時間2万円台(超過単価と同じ) | 公開相場のスポット単価(1時間1.5万〜3万円)と比べ、月額が割高なら枠の必要性を問い直す |
| 段階 | 要件定義÷その段階の金額 | 新しいルールを決める案件で3割台、既存への追加で1割台 | 案件の性格に対して低すぎる見積は、決める作業が抜けていないか確かめる |
| 例外 | オプション÷基本構成 | 基本の約3割(例外2件) | 前提条件の欄に書かれた例外を数え、件数と上乗せ額の釣り合いを見る |
もう1つ、テストの行が見積に独立して書かれているかも確認してください。見積Cではテストが約15%ありました。テストの行がない見積では、動作の確認を誰がするのかが決まっていません。
当社の値は1社への3本の見積から出したもので、業界の標準値ではありません。それでも、総額だけで比べるより「どこが厚く、どこが薄いか」が具体的に見えます。
業務改善コンサルの料金体系や内製との比較は業務改善コンサルの費用相場、顧問・プロジェクト・成果報酬の違いは経営コンサルの費用相場で詳しく紹介しています。複数社の見積を同じ物差しで並べる評価表はシステムベンダーの選定方法をご覧ください。
DXコンサルの費用を抑えるには?
値引きを求めるより、頼む範囲と例外の数を減らす方が確実に下がります。
- 考える財布だけを先に頼む:見える化と打ち手の洗い出しで一度止めれば、作る財布の範囲が締まり、後半の見積に積まれる予備が減ります
- 例外を業務側で先に減らす:見積Cのオプションは、支払い経路と割引の例外2件から生まれました。システムで例外に対応する前に、業務ルールをそろえて例外そのものをなくせないかを検討します
- 月額は必要な時期だけ:社内の担当者が手を動かす立ち上げ期だけ月額伴走にし、落ち着いたらスポットに切り替えます
- 補助金の対象になる組み方にする:ツールの導入とセットにすると、導入・活用のコンサル費用が補助対象に入る制度があります(次の章)
例外を減らす考え方はECRSとは?業務改善の4原則で詳しく紹介しています。
DXコンサルの費用に補助金は使える?
コンサル費だけを補助する制度はほとんどありません。ツールや設備の導入とセットにすると、導入・活用のコンサル費用が補助対象に入る制度があります。
| 制度 | コンサル費の扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金) | 導入関連費として「導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポート」が対象 | 登録されたITツールの導入とセットで、IT導入支援事業者との共同申請が必要。コンサル費だけでは申請できない |
| ものづくり補助金 | 専門家経費として計上できる(日当の上限あり。例:中小企業診断士等は1日4万円以内) | 機械装置・システム構築費が主で、それ以外の経費には上限がある |
| 人材開発支援助成金 | DX人材を育てる研修の費用・賃金の一部 | 「回す」財布の研修部分に限られる。計画の届け出が先 |
どの制度も、交付決定より前に契約・発注した費用は対象外です。見積をもらった段階で、どの財布のどの行が補助対象になりうるかを支援事業者と確認し、スケジュールを決めてから契約します。制度ごとの申請の勘所は業務改善に使える助成金・補助金と生成AI導入に使える補助金で紹介しています。
よくある質問
Q. 中小企業がDXコンサルに払う費用の目安はいくらですか?
A. 何から始めるかを決める「考える」部分だけなら、現状診断で50万〜200万円程度が公開相場の目安です。最初から全社の戦略を頼まず、業務の見える化と打ち手の洗い出しで一度止めると、数百万円の範囲に収まりやすくなります。
Q. DXコンサルの月額契約は高くないですか?
A. 月額を稼働時間で割り戻して判断します。当社の月額伴走の見積では、時間あたりの単価は超過分の単価と同じでした。月額は値引きではなく相談枠の予約なので、毎週相談が出る時期だけ契約し、落ち着いたらスポットに切り替える使い方が合理的です。
Q. 見積の金額が会社によって何倍も違うのはなぜですか?
A. 「考える・作る・回す」のどの財布までを含めているかが違うためです。並べ直すときは、要件定義が見積全体の何割かを計算します。当社の見積では、新しいルールを決める案件で3割台、既存の仕組みへの追加で1割台でした。新しく決める案件で1割台なら、「決める打ち合わせは何回あり、何という文書で残るか」を各社に聞いてそろえます。
Q. DXコンサルの費用に補助金は使えますか?
A. コンサル費だけを対象にした制度はほぼありません。デジタル化・AI導入補助金2026では、ITツールの導入とセットなら導入・活用コンサルティングの費用が対象に入ります。交付決定前の契約は対象外なので、契約の前に確認が必要です。
まとめ
- DXコンサルの相場は、月額型で月10万〜数百万円、プロジェクト型で数百万〜数千万円。幅は「誰が・どこまで関わるか」で決まる
- 見積は「考える・作る・回す」の3つの財布に分けると、他社と比べられる形になる
- 当社の見積3本では、月額は枠の予約、考える費用の比率は案件の性格で約3倍の差、費用を押し上げたのは例外処理だった
- 総額を比べる前に、時間・段階・例外の3つに割り戻す
- 費用を抑えるには、値引きより頼む範囲と例外の数を減らす
- 補助金はツール導入とセットで使い、交付決定前に契約しない
当社は、業務の見える化から最初の打ち手選び、作る段階の伴走まで、必要な財布だけを小さく組み合わせてご提案しています。お手元の見積を「3つの割り戻し」で一緒に読み解くご相談も承ります。
業務改善の全体像は業務改善コンサルティングをご覧ください。
参考資料
- パソナ ProShare「DXコンサルの費用相場は?」(2026年10月2日)https://pasona-proshare.com/column/it-dx/dx-consulting-fees
- ripla「中小企業DXコンサルの見積相場」https://www.ripla.co.jp/blog/dx-consulting/sme-dx-consulting-costs/
- Uravation「DXコンサルの費用相場」(2026年10月15日更新)https://uravation.com/media/dx-consulting-complete-guide-2026/
- 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の概要」https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r8/digital_ai_summary.pdf
- 大塚商会 ERPナビ「デジタル化・AI導入補助金2026」https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/topics/law-amendment/it-hojo/
- ものづくり補助金事務局「第23次公募要領」https://portal.monodukuri-hojo.jp/
監修|大槻 伸夫(キュリオシティ株式会社 代表取締役CEO)
業務コンサルティング会社の経営者として、BPR・PMI・生成AI導入の現場支援に携わる。「現場主義 × AI」を掲げ、業務の見える化から仕組みづくりまでを一貫して支援している。
