2026.06.15

PMI

PMIコンサルの費用相場と内訳|外注の判断軸

「M&Aは決まった。でも、買ったあとの統合(PMI)を任せると、結局いくらかかるのか」——稟議を書く前にまず知りたいのはこの一点だと思います。結論から言うと、PMIコンサルの相場は月額15万円台のスポット支援から、年間1,000万〜2,000万円超の包括支援までと幅広く、その差は「依頼範囲」と「期間」でほぼ決まります。

そしてPMIで本当に怖いのは費用の高さより、統合に失敗してM&Aそのものが回収不能になることです。だからこそPMIコンサルは「費用」ではなく「失敗回避の保険+シナジー実現の投資」として見るのが正解。本記事では、費用相場を料金体系・依頼範囲・企業規模別に整理したうえで、見積書のどこを見るか、そして「外注すべきか・社内で回すか」の判断軸を、現場でのPMI支援の知見も交えて解説します。

監修:大槻 伸夫(キュリオシティ株式会社 代表取締役CEO)。”現場主義 × AI”で中堅・中小企業のPMI(M&A後統合)・業務改善(BPR)を伴走支援。統合タスク管理プロダクト「PMI Manager」も自社開発。本記事の相場感は2026年6月時点の公開情報(中小企業庁ガイドライン・各社の公開料金等)に加え、当社の支援案件(守秘のため匿名化)の所感を反映しています。

1. 結論:PMIコンサルの費用相場早見表

まず全体像を、依頼範囲別の早見表で押さえます。自社がどこを頼みたいかで、見るべき行が変わります。

依頼範囲 費用目安 期間の目安
スポット相談・助言(顧問型) 月額 5万〜30万円 随時〜半年
100日プランの設計・統合計画策定 100万〜300万円 1〜3ヶ月
PMO(推進事務局)の伴走支援 月額 15万〜150万円 3〜12ヶ月
全社的な統合(包括契約) 年間 1,000万〜2,000万円超 6〜12ヶ月

(出典:中小企業庁「中小PMIガイドライン」、freeconsul・PRONIアイミツ等の公開情報を基に編集部で整理。各社公開料金の例:統合計画策定100万円〜+月次支援20万円〜、100日プラン月額15万円〜、など)

企業規模別に当たりを付けると、おおむね次のレンジ感です。

企業規模 費用感の目安
中小企業(初M&A・1拠点規模) 100日プラン100万円前後+月額15万〜50万円のPMO伴走
中堅企業(複数部門の統合) 設計200万〜300万円+月額50万〜150万円
上場・大型M&A 年間1,000万〜2,000万円超(包括契約)

ポイントは、中小企業のPMIなら月額15万〜50万円のPMO伴走から始められるということ。「PMI=数千万円の大型案件」というイメージは、上場企業同士の大型M&Aの話で、中小・中堅のM&Aではもっと現実的なレンジに収まります。中小ならではの勘所は中小企業のPMIで押さえる勘所で詳しく解説しています。

2. 費用の内訳|PMIコンサル費用の「正体」

なぜこんなに幅が出るのか。PMIコンサル費用の正体はシンプルで、「コンサルタントの人日単価 × 稼働量 × 期間」です。費用の大半(一般に6〜7割)は人件費。つまり「誰が・何日・何ヶ月入るか」で総額が決まります。

PMIコンサルの費用は、おおむね次の3層に分解できます。

  • ①初期費用(設計フェーズ):現状把握、統合方針の策定、100日プランの作成。100万〜300万円が一例。M&A成立直後に最も知見が要る部分で、ここを外部に頼む価値が高い。
  • ②月額費用(実行・伴走フェーズ):PMOとして統合タスクの進行管理、月次の経営会議運営、課題の旗振り。月額15万〜150万円。社内に不足しがちな「統合を前に進める機能」を外から補う部分です。
  • ③スポット費用(専門領域):人事制度の統合、会計システムの統合、法務など。必要に応じて専門家を都度アサイン。

業務改善コンサルと費用構造はよく似ていますが(業務改善コンサルの費用相場参照)、PMIは「①の設計フェーズの密度」と「②で巻き込む部門の広さ(経営・人事・財務・IT・現場)」が大きいぶん、総額が上振れしやすいのが特徴です。

3. 料金体系は4種類|自社に合うのはどれか

PMIコンサルの契約は、おおむね次の4つに分かれます。

PMIコンサルの料金体系4種類。プロジェクト型・月額顧問型・タイムチャージ型・成果報酬型の費用イメージと向いているケース
PMIコンサルの料金体系4種類。プロジェクト型・月額顧問型・タイムチャージ型・成果報酬型の費用イメージと向いているケース
料金体系 費用イメージ 向いているケース
プロジェクト型(固定) 範囲・期間で総額を固定(100日プラン100万〜300万円) 予算を先に確定したい/統合範囲が明確
月額顧問型 月額5万〜150万円 半年〜1年、PMOとして継続伴走してほしい
タイムチャージ型 1時間1万〜3万円(目安) スポットで論点だけ相談したい
成果報酬型 スタート費+月額+成果配分 初期費用を抑えたい(※シナジー定義が肝)

体系別の落とし穴

成果報酬型は「初期費用を抑えられる」点で魅力的ですが、シナジー(成果)の定義が曖昧だと後でもめます。「売上増のどこまでをPMIの成果とみなすか」を契約前に数式で握れるかが分かれ目。逆に統合範囲が見えているなら、予算がブレないプロジェクト型が安全です。「まず100日を乗り切りたい」なら、設計(プロジェクト型)+実行(月額顧問型)の組み合わせが現実的。進め方の全体像はPMIの進め方|100日プランの作り方にまとめています。

4. 費用を左右する5要因|見積書のどこを見るか

見積書を受け取ったら、総額より先に内訳を見てください。PMIコンサル費用は次の5点で動きます。

  1. 誰が入るか(パートナー/マネージャー/ジュニアの配分)— 上位者の稼働が多いほど高い
  2. 稼働日数・期間 — 月◯日 × ◯ヶ月で総額が決まる
  3. 統合スコープ — 経営統合だけか、人事・会計・システム・現場業務まで含むか
  4. 成果物の定義 — 「100日プランの提出まで」か「統合タスクの完了・定着まで」か
  5. 追加費用の扱い — スコープ外が出たときの精算ルール

中小企業庁の「中小PMIガイドライン」も、PMIの進捗次第で当初見積もりから追加費用が発生しやすいため、計画段階でスコープを明確にすることが重要だと指摘しています。実務でよく揉めるのは③と④。安く見えた見積りが、後から「実行支援・定着は別途」で膨らむのが典型です。「人日 × 単価 × スコープ × 成果物の定義」が明記されているかを必ず確認しましょう。

5. 外注すべきか、社内で回すか|PMOを誰が担うか

PMIコンサル費用を考えるとき、避けて通れないのが「そもそも外注すべきか、社内のPMOで回せないか」という論点です。

社内で回す場合の”見えないコスト”

「外注は高い。経営企画が兼務でやればタダ」——よくある発想ですが、ここに落とし穴があります。社内PMOには、給与以外に次のコストが乗ります。

  • 機会損失:経営企画・管理部門のエースが、本来の業務(次の成長投資)を止める分
  • 学習コスト:PMIは多くの企業で“初めて”。手探りで進めるぶん、つまずきと手戻りが増える
  • 失敗リスク:統合の順番を誤ると、キーパーソンの離職・現場の混乱を招き、M&Aの投資回収そのものが危うくなる

PMIでよくある失敗の型はPMIの失敗事例7選に整理しました。「内製は無料」ではなく「失敗したときの損失」まで含めて天秤にかけるのが正しい比較です。

ハイブリッドが現実解(自社の所感)

ここで一つ、当社の支援事例を匿名でご紹介します。サービス業・中堅規模の譲受企業で、初めてのM&A後統合に直面したケース。「全部を外注すると高い、でも社内に経験者がいない」という典型的な悩みでした。

採った打ち手はハイブリッドです。最も知見が要る「100日プランの設計」と「最初の3ヶ月のPMO伴走」だけを外部に頼み、4ヶ月目以降の実行は、伴走期間に型を学んだ社内メンバーが主体で進めました。体感として、最後まで丸ごと外注する場合に比べ総額を大きく抑えつつ、PMOの進め方が社内に残った、というのが現場での所感です(守秘のため概算)。

判断の目安:知見が要る上流(設計・最初の100日)は外注、定着・継続運用は内製化してノウハウを蓄積——というのが費用対効果の高い切り分けです。なお、統合タスクをExcel台帳で抱え込むと進捗が見えなくなり、結局コンサル工数が膨らみます。台帳運用の限界とツール化はPMIの進捗管理ツール比較で解説しています。

6. 費用対効果(ROI)|PMIは「失敗回避」で効く

業務改善コンサルのROIが「いくら工数が浮くか」で測れるのに対し、PMIのROIは少し性質が違います。PMIの価値は、①想定したシナジーを実際に取り切れるか、②統合の失敗による“逸失”を防げるかの2軸で考えます。

M&Aは、買収額そのものが投資です。たとえば数億円で買った会社の統合が失敗し、キーパーソンが抜け、現場が混乱して業績が落ちれば、損失は買収額に匹敵します。一方、PMIコンサルへの支出は100日プランで数百万円、PMO伴走で月額数十万円のレンジ。買収額に対する数%の投資で、回収の成否そのものを左右する——これがPMIに費用をかける合理性です。

自社で試算するなら、(1)想定シナジーの金額、(2)統合失敗時に見込まれる損失(離職・顧客流出・業績下振れ)、(3)それらの発生確率、をざっくり置いて、コンサル費用と比べてみてください。「買収額の数%でM&Aの成功確率が上がるなら安い」と判断できるケースは少なくありません。

7. 費用で損をしないための実践ポイント

最後に、PMIコンサルで費用対効果を高めるコツです。

  • 設計と実行を分けて契約する:まず100日プランの設計だけを依頼し、進め方とコンサルの相性を見てから実行支援を判断する。いきなり年間包括で握らない。
  • PMOの”受け手”を社内に必ず置く:丸投げすると定着しません。社内に担当者を立て、伴走期間にノウハウを移管してもらう前提で契約する。
  • 相見積もりは”成果物の定義”で比べる:同じ統合範囲で2〜3社に出してもらい、単価ではなく「どこまでやって・何が残るか」で比較する。
  • スコープと追加費用ルールを契約前に握る:中小PMIガイドラインの指摘どおり、PMIは追加費用が出やすい。精算ルールを先に決める。
  • 公的な”型”を活用する:中小企業庁の「中小PMIガイドライン」は無料で、PMIの標準的な進め方を網羅しています。これを共通言語にすると、コンサルとの認識合わせが速く、結果的に工数(=費用)を抑えられます。

PMIコンサルの支援内容・進め方・費用の全体像は、PMIコンサルティング(ピラー)で体系的に解説しています。あわせてご覧ください。

まとめ

  • PMIコンサルの費用相場は月額5万円台のスポットから年間1,000万円超の包括支援まで。決め手は依頼範囲と期間で、費用の正体は「人日 × 単価 × 期間」。
  • 費用は①設計(100万〜300万円)②月額PMO伴走(15万〜150万円)③専門領域スポットの3層で分解できる。
  • 料金体系は4種類。範囲が明確ならプロジェクト型、継続伴走なら月額顧問型。見積書はスコープと成果物の定義を見る
  • 内製は「機会損失・学習コスト・失敗リスク」まで足して比較する。設計は外注・定着は内製のハイブリッドが中小には効きやすい。
  • PMIのROIはシナジー実現と失敗回避で測る。買収額の数%で成功確率が上がるなら、費用は十分に見合う。

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「自社の場合、設計だけ頼むべきか、PMOまで任せるべきか」「この見積りは妥当か」——具体的な費用感は、M&Aの規模と統合範囲を見ないと判断できません。キュリオシティでは、現場主義 × AI の視点で、PMIの進め方と費用対効果を一緒に整理する無料相談を行っています。まずはお気軽にご相談ください。

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本記事の費用相場は2026年6月時点の公開情報(中小企業庁「中小PMIガイドライン」、各社公開料金等)および当社支援案件(守秘のため匿名化)の所感に基づきます。実際の費用は依頼内容・規模により変動します。


監修者

大槻 伸夫/ 代表取締役 CEO

キュリオシティ株式会社 代表取締役CEO。「現場主義×AI」を掲げ、業務改善(BPR)・PMI・経営支援・AIプロダクト開発を一気通貫で支援。クライアント現場での実行支援を重視する。

業務改善・PMIのご相談はキュリオシティへ

記事で紹介したテンプレートの配布や、貴社課題に合わせた無料相談を行っています。

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